双子と会ったときに「どちらが兄or姉?」と聞いていませんか?
悪意のないその一言も、相手を傷ついてしまっているかもしれません。
〝ふたごマナー〟とは
双子・多胎児本人や、その家族とかかわるときに、気にかけて欲しいマナーがあります。
それぞれのお子様が、自分の人生を自分らしく生きていくために、周りの人が心がけるべき大切なマナーです。
親御さんはもちろん、学校の先生や、親戚、地域の方など…多胎児と関わる全ての人に知ってほしい「多胎児とその家族に対するエチケット」=「ふたごマナー」をご紹介します。
多胎児(たたいじ)とは…
双子や三つ子等。一度の出産で生まれた複数の子のこと
①「比べられている」と感じる表現は避けて
- どっちが年上?
- どっちが先に歩きはじめた?
- 「大きい方」「小さい方」
- どっちが好みのタイプ?
双子・多胎児は比べられることに人一倍敏感です。
「どちらがお兄ちゃん・お姉ちゃんなの?」という質問は、質問者に悪気がなくても、本⼈たちは優劣をつけられていると感じることがあります。
お友だち同士が並んでいる時に「あなたの方が背が低いね」と、いきなり声をかける⼈はいないと思いますが、多胎児だと、はじめて出会った(道ですれ違っただけの方にも)「あなたは(こっちは)背が低いのね」と簡単に⾔われてしまうこともしばしば。
見た目のわかりやすさから、名前ではなく「大きい方」「小さい方」なんて呼ばれてしまうこともあります。
このような表現は、ふたごマナー違反です。単胎(1⼈で)産まれたお子様と同じようにかかわりましょう。
他にも「どっちが好みのタイプ?」「どっち派?」等と比較するような話題にあがってしまうことも多く、当時者にとっては不快に感じることもしばしば。
多胎児は、生まれてすぐから(時には妊娠中から)ことあるごとに、比べられてしまいます。多胎児と関わる時には、努めて比べないことを意識した接し方が◎
②双子らしさを求めないで
- 双子なのに似てないね
- もう1人は?
- 双子なのに喧嘩するの?
- 2人で1つ(1人では未完成)
- 2人は一番の友だちであるべき
- 1人になった時、不安になる
双子=2人で1つ。以心伝心していて、瓜二つ。常に一緒にいて相手のことを理解している…というイメージがありませんか?
これはアニメや漫画、文化的な影響で作られた「双子神話」です。
遺伝子のDNA配列が全く同じ一卵性の多胎児で、瓜二つの多胎児もいれば、二卵性等で遺伝子のDNA配列が異なり、瓜二つではなく(同じ親から生まれた兄弟として)似ている部分も・似ていない部分もある多胎児もいます。
(遺伝子配列が同じだったとしても、瓜二つになるとは限りません。詳細は↓)
瓜二つでない多胎児は「双⼦なのに似ていないね」といわれるたび、期待を裏切ってしまったような罪悪感を感じます。
さらに、周りの⼈が多胎児をセットのように扱っていると、本⼈たちも「そろって⼀⼈前」のように感じてしまいます。
実際はそうではなく、当然ながら、それぞれ1人の尊重すべき個人です。
「それぞれ別の人間として見てくれている」と感じる関わり方をしましょう。
こんな接し方が嬉しい
- 彼らの名前は?
- どうやって、それぞれを覚えたらいいかな?
- あなたの好きなものは?
⾒分けがつかなくても「それぞれ別の⼈間として⾒てくれている」と感じるかかわり⽅が嬉しいです。
単胎(1人)で生まれたお子様に接するのと同じように、子どもひとりひとり、それぞれの話を聞くのが「ふたごマナー」です◎
親が心がけたいこと
親は、周りの人たちに個々の違いをわかりやすくするための工夫をしましょう。
洋服を色違いにしたり、髪型をかえたり、何かわかりやすい目印をつけると、それぞれ一人の人として見てもらいやすいです。
多胎児の子どもが1人でいる時
多胎児の子どもが一人の時に「いつも一緒に居て当然」「相手のことを考えていて当然」と感じるような関わり方はやめましょう。
それぞれ一人で行動する時間があるのは、双子・多胎児にとって素晴らしいことです。
理想の双子像を押し付けるのはやめて、「二人でいることも素晴らしいよね」くらいに留めておきましょう。
双子・多胎児間の関係性にも当然、良い時・悪い時があります。
こんな声かけが嬉しい!
- 「一人になるのも簡単じゃないよね」
- 「自分の時間を作って素敵だね!」
- 「1人になるのも大変だよね、楽しんで!」
多胎児に「⼀⼈の時間」があるのは素晴らしいことですが、簡単ではありません。1⼈の時間を作った労をねぎらい、前向きな⾔葉がけが嬉しいです。
③多胎児の親へのマナー
- 自然妊娠?不妊治療?
- 双子は二倍大変なんでしょ?
- 私には無理だ…
- いっぺんい育つからラクね!
- 私は年子育ててるから、双子と変わらないよね
多胎児を連れて外出していると、道ですれ違った(はじめてお会いした)方から唐突に「不妊治療したの?」と聞かれることも少なくありません。初めて会った人に、このような個人的でセンシティブな事は尋ねないのが当然のマナーではないでしょうか。
他にも多胎育児に対して、自分の考えを押し付けたり、評価するのはNG!
子の人数やその年齢差に関わらず、育児の大変さは他人が評価して良いものではありません。
④多胎児の兄弟へのマナー
他の兄弟がいる時に、多胎児ばかりに注目するのはNG!兄弟にも目を向けましょう。
双子・多胎児の関係性だけではなく、兄弟を含めた関係性を聞いたり、同じように名前や年齢、好みを聞いたり…多胎児の兄弟にも、多胎児本人と同じように目を向ける=兄弟への気遣いも「ふたごマナー」の1つです。
まとめ
読んでみれば「納得」「当たり前」のことかもしれませんが、双子・多胎児に関する知識がない人にとっては「言われないとわからない」ことかもしれません。
このような双子・多胎児に対するエチケット=「ふたごマナー」は、学校の教師や保育士、医師や看護師、保健師等…子どもの教育・養育に関わる専門家も知らないことがほとんどです。
(双子・多胎児と関わる際の特別なケアについて学ぶカリキュラムがないのが現状です)
進級・進学の事前面談や、親戚で集まる時…このページの内容を伝えておくのも良いですね◎
A4用紙に印刷して、先生に手渡したり、保護者会で配布するためのpdfファイルもご用意しております。
ぜひご活用下さい。
多胎児として生まれた子どもたちが、多胎児として生まれたことで苦しくならないよう、周りの大人がきちんとエチケットを守りたいですね!
双子専門の心理学者・フリードマン博士の「TWIN ETIQUETTE 101」を参考にしています。
文化的な違いや、英語だとしっくりくるけど日本語だとわかり辛い表現は、適宜言い回しを変えたり、削除して紹介しています。
コメント
コメント一覧 (4件)
英語のBrothersやSistersとちがって、日本語では兄弟、姉妹を区別する言語ですし、双子ちゃんにも、どっちがお姉さん?大きい子の方?とかNGワードを連発していた自分がマナー違反だったと反省。言われてみれば納得だけど、多胎育児に関わる前はどれも無頓着でした。「双子マナー」が世間の常識になっていってほしいものですね。
みどりさん
コメントありがとうございます!
確かに、英語のBrothers、Sistersと違って、日本語では兄弟・姉妹を区別しますよね。
言語的な背景も、多胎児にとって苦しい環境要因なのかも…?
勤めて比べる言い方を避けて、ふたごマナーを守っていきたいですね。
双子の母です。
「洋服を色違いにしたり、髪型をかえたり、何かわかりやすい目印をつけると、それぞれ一人の人として見てもらいやすいです」
の一文がありました。その通り!その通りなのですが、うちは、色違いなどあろうものなら、どっちが私!の取りっこが始まり、支度にプラス15分、なんて毎日でした。
なので全部色まで同じにしてました。
ですが、最近は、自分のマーク(アルファベットのイニシャル等)を覚えたので、何でも買ったら即記入。揉めても「書いてあるよー」と見せると本人たちも渋々受け入れてます。受け入れた上で、「かしてー」とか「こうかんしよー」とか話せているので良かったな。と思ってます。
コメントありがとうございます!
見た目の違いをわかりやすくすると、一方の物がよく見えてしまうこともありますよね。
マークや記名の違いをわかるようになると、受け入れやすくなるのですね◎
それぞれの物を理解した上で、言葉で交渉できるスキルは将来とても役立ちそうです!