「孤独の回避」と「母である前に人であること」【#三つ子ママに必要だったこと】vol.3

2018年1月。三つ子ママが子の1人を虐待死させてしまった事件について、多くの多胎ママが「他人事ではない」といった感情を抱いていることがわかりました。

このような悲しい事件が、二度と繰り返されないよう【#三つ子ママに必要だったこと】と題し、多胎育児環境の現実や、今まさに多胎育児に苦悩する方々の気持ちによりそい、解決策を模索する特集記事として、現役多胎ママライターによるリレー記事をはじめました。

第3回は「孤独を回避すること」と「母親である前に1人の人間であること」です。

こんにちは、chakiです。
長女2歳、男児双子1歳1歳の年子双子を持つ母です。自ら「ほぼ3つ子育児」と呼んでいます。

お恥ずかしながらこの事件から目を逸らしていました。この母親はもしかしたら私だったかもしれないなとあまりにも苦しかったからです。でも、風化させないためにも、多胎育児の現状を多くの人に知ってもらうためにも、書きます。多胎育児想像できないなあと思っている方に少しでも想像していただけたらなと思います。

#三つ子ママに必要だったこと

それぞれに答えは違うと思います。でも他人任せにしてはいけない。今こそしっかり考えて欲しいのです。
3つ子育児、私にはわからないけれど想像はできます。我が家と重ね合わせて照らし合わせて、もう苦しいです。
どうか想像してみてください。同じ月齢の言葉の通じない赤ちゃんを3人、同時に、または代わる代わる、エンドレスに育児をすることを。

3つ子育児を想像してみる

親は1日24回のミルク
睡眠時間は1時間程度だった

これはある日の出来事ではありません。毎日です。頻回授乳は低月齢の頃だけ?いいえ、授乳間隔が開く頃にはもっと大変な離乳食がスタートします。

ミルクをあげると言うことは、お湯を沸かしミルクを作る、授乳後は哺乳瓶を洗い消毒する。授乳前におむつの交換。授乳後お腹がいっぱいでうんちをすることもあるので、授乳後にも再度おむつ替え(これは珍しいことではありません)。低月齢のうちは吐き戻し防止の為にゲップもさせます。3人いるのでこれを3回繰り返します。ここまでが「ミルクをあげる」と言うこと。
哺乳瓶を咥えさせることだけではないのです。3人分やっていたらあっという間に時間が過ぎ、気付いたら次の授乳の時間になっているということも。赤ちゃんはお腹が空くと泣きます。毎回毎回3人分の泣き声を聞きながら3人分のミルクを急いで用意して、泣いてる3人分のおむつを急いでかえるお母さんの様子、想像できますか。

経験上、1時間の睡眠というのはトータル時間です。基本細切れ睡眠。どうか起きないで!と息を潜めながらうとうとする程度です。人間のキャパシティーを超えています。
基本3時間睡眠だし多少寝なくても、、という意見を拝見しました。それは違います。自分の意思で自分のタイミングで3時間寝ること、1日徹夜することとは全く違います。自分の意思に反して起こされ続けるんです。こんな毎日いつ終わるの?それはわかりません。いくら強靭な人でも毎日この連続であれば壊れてしまいますよね。母親だからできる、ということはありません。

「3つ子を連れて外出」のハードル

例えサポートの制度があったとしても、3つ子を連れてファミリーサポートの事前登録の為に外出するというのは厳しいものです。
我が家の外出スタイルは長女をおんぶか手繋ぎ、双子は双子用ベビーカーでそこに子ども3人の荷物や母子手帳ケースなどを持ちます。移動は徒歩や電車が基本です。電動自転車は定員オーバー、大型ベビーカーではバスは利用できません。

このことを考えるとボロボロの3つ子のお母さんに「ファミリーサポートの利用登録のために外出」はハードルが高いのです。その時間があれば少しでも休みたかったはずです。産前の登録が可能である自治体もあると思います。私の区はそうでした。ただし多胎妊婦は早期から管理入院になります。ハッピーなマタニティライフを送る時間もなく自宅安静や緊急での入院、管理入院となり、正期産前に出産となることも多いです。産後への準備期間が圧倒的に短く感じると思います。その中で役所に足を運んで登録するのはもしかしたら難しいかもしれませんね。全ての自治体で希望者には自宅での登録も可能であるといいのになと思います。

話は逸れますが、日々の育児に疲労困憊の中、外出を強いられることがあります。それは通院や予防接種、定期健診です。これは避けられません。
早産児で産まれることの多い多胎児ですが、早産児の場合は成長の過程をみる為に毎月フォローアップ健診があります。RSウイルスの流行期には毎月シナジスという注射を打つ必要もあります。乳幼児3人を1人で連れて外出するのは想像以上に大変です。そこにプラスして風邪や下痢、インフルエンザなどで通院する必要があります。毎週通院しているなという時もあります。
予防接種や健診に必要な書類は勿論1人につき1枚書きます。同時接種で4種類一気に接種する時は4枚×3人分、12枚に記入します。誰かが体調不良であればその子は後日打ち直し。また3人連れて外出です。
ファミリーサポートを利用し同行してもらったら?旦那さんに休みとってもらったら?そんな意見も拝見しました。サポートを頼むにも月に何度もある通院のたびに料金がかかるのです。子どもが3人いたら料金だって3倍です。金銭的な負担も大きいことはいうまでもないですよね。月に何度も旦那さんがお休みとることが出来ればいいですけどそうはいきません。想像できますか。

「孤独を回避すること」と「母親である前に1人の人間であること」

多胎ママに必要なことはこの2つだと私は考えています。
多胎育児において最も大きなテーマであり、多胎育児において最も難しいテーマかもしれません。
”孤育て”にならないために、限られた妊娠期からしっかり準備して欲しいのです。

孤独を回避すること

双子妊娠発覚時、区の保健師や病院の医師や助産師、ソーシャルワーカーが口を揃えて言いました。
「産後の人手の確保をしてください」
そうは言うものの、どう確保したら良いのかまでは手助けしてはくれません。両家の手厚いサポートが見込めるのがベストですが現実問題そう簡単にはいかないです。
私の場合をお話しすると、両家のサポートが難しかったため、里帰りもせず夫に育休取得に踏み切ってもらい全力で夫婦で子育てしてきました。夫は7ヶ月で復職し現在はワンオペです。(春から3人とも保育園に内定しました)今も夫婦2人体制でほぼ3つ子育児をしています。また、同じ境遇のママと出会いたくて都内で双子会を作ることにしました。(これは少し特殊な例だと思います)そのご縁もあり、妊娠中から育児中の現在まで励まし合い、お互いの子どもたちの成長を喜べる仲間と出会うことができました。住んでいるマンションの同じ階、そして真下のお部屋に双子ママが住んでいるという奇跡もあり、孤独を回避することができました。

ただ、夫婦が揃って助け合っていても、しんどいことだらけです。体調もメンタルもいつも疲労で潰れそうです。世の中の虐待のニュースから目を逸らしてしまう理由もそこにあるのかもしれません。いつ自分が加害者になるか手を挙げてしまうんじゃないかと他人事だと思えないのです。

母親である前に1人の人間であること

とってもとっても大切なことです。
母親になった瞬間から、十分に寝ることもゆっくりご飯を食べることもゆっくりトイレに入ることもゆっくり湯船に浸かることも全て返上して育児に徹することが当たり前ではありません。
子どもがどんな個性を持っていても無償の愛を与え続け育てることができるなんて幻想だと思っています。日々必死です。母乳神話もそう。ミルクだって市販の離乳食だって子どもはしっかりと育つのに、日本の育児はそれを良しとしない風潮がまだ垣間見えます。いいんです、どんどん手を抜いていきましょうよ。母親の心にほんの僅かでも余裕ができるのであればどんどん楽をするべきなんです。
妊娠中はお節介なほどに母体の心配をされましたが、産後母の体調を気にかけてくれる人は多くはありません。注目は全て赤ちゃんです。産後のボロボロの身体で育児をしている自分ですら、自分のことを後回しにします。自分をかまう余裕がないんです。その時間があれば休みたかった。
お母さんはお母さんである前にひとりの人間です。そんなギリギリの状態で育児を頑張っている母親が単胎多胎関係なく殆どだと思います。だからこそ産後も手厚いサポートが必要だと思うんです。産後ケア施設の利用を低価格で利用できるような制度もあれば良いなと思います。そもそも産後ケア施設の存在すら知らない方もいると思うんです。高価で利用できない、近くにない、多胎であると枠が少なくて利用を断られたという声も良く聞きます。この辺りもサポートの薄さが伺えますね。

親のサポートを重視して欲しい

子育て支援は子どもの支援もそうですが親のサポートに最も力を入れるべきです。
現在日本では、育児負担のほとんどが母親だけにのしかかっています。「ワンオペ育児」という言葉が多く聞かれることが現状を良く表していますね。ホットワードである「子連れ出社」も本当に親にとって最適な制度なのでしょうか。多くの母親が、精神的にも肉体的にも負担の限界に達するギリギリのところで踏みとどまっているのだと思っています。これは単胎だろうと、多胎だろうと、年子だろうと、多兄弟だろうと変わりません。自分の太ももを叩いて、理性を保っていた3つ子のお母さんも同じだったはずです。

ほんの少しだけでもいいです。同じことが二度と起きないよう子育て支援の充実を願ってやみません。
願うだけでなく私自身も多胎支援プロジェクトを昨年からスタートさせています。外出のハードルが高い多胎ママの為にもオンラインで座談会などに参加できる仕組みを検討しているところです。

さいごに

今回の事件を同情だけで終わらせて良いのでしょうか。
署名活動が盛んですが、世論が反映され執行猶予がついたらハッピーエンドなのでしょうか。(署名活動への批判ではありません)
抜本的に多胎妊娠出産育児への理解や支援を考え直していかなくてはならないと思います。何度も言いますが他人事ではありません。風化させない為にも、当事者の1人としてそれぞれに考えて欲しいと思います。

【#三つ子ママに必要だったこと】リレー記事

vol.1 託児所の先生とツインズサークルが心の支えに
vol.2 虐待する前の最終手段を知ってますか?
vol.3 「孤独の回避」と「母である前に人であること」
vol.4 心の支えになった「ママアカウント」
vol.5 多胎ママと繋がろう

chaki

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2歳1歳1歳の年子双子のハハ 「ほぼ3つ子育児」と呼んでいます 妊娠5ヶ月の時に双子会を立ち上げました 食べることと音楽、楽器が好きな サブカル寄りの20代...

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