指しゃぶりを卒業させたい

三つ子が3歳の誕生日を迎えましたが、3人ともまだ指しゃぶりをしています。歯並びにも影響が出てきているようで心配です。

お子様のおしゃぶりや、ブランケット症候群、指しゃぶり等で悩んでいる多胎ママは多いのではないでしょうか。

今回は指しゃぶりについて、多胎児の発達に詳しい小児科専門医の藤田先生に聞いてみました。

多胎児に多い?指しゃぶり

指しゃぶりは胎児期からみられ、〜生後6ヶ月ぐらいまでは発達の自然な流れといわれています。

生まれた直後の赤ちゃんは重力に逆らって手足を動かせませんが、生後2ヶ月を過ぎた頃には自分で手を口へもっていき、指しゃぶりも上手になってきます。生後3〜4ヶ月ごろの赤ちゃんは、目の前に持ってきた自分の手をじっとみつめたり、指しゃぶりなどをよくします。このような行動は、自分の体を徐々に認識していく過程だと言われています。

乳児期前半にはほとんどの赤ちゃんで見られる指しゃぶりも、お座りで視野が広がったり、ハイハイしたりと活発になってくると、遊んでいる間の指しゃぶりは減り、1歳ぐらいまでに指しゃぶりをやめる子と続ける子に分かれてきます。

1歳過ぎても2〜3割程度の子が、よく指しゃぶりをしているという報告があり、眠い時、手持ち無沙汰な時、テレビを見ているときなどに指がお口にいきがちです。このような指しゃぶりは2歳をピークに減少していき、3歳ごろまでに自然にやめられることが多いです。

指しゃぶりが残りやすい子の傾向

指しゃぶりが残りやすい子の傾向を見てましょう。
女の子は男の子に比べて、指しゃぶりなどの触覚の感覚に依存しやすいようです。
核家族は祖父母と同居しているよりも指しゃぶりが多く、自宅よりも幼稚園や保育園で指しゃぶりをしやすいと言われています。
また環境因子だけでなく、子ども自身の持って生まれた緊張しやすいなどの気質も影響します。

多胎児で指しゃぶりが多いかどうかという学術的な統計はありませんが、兄弟、とくに年齢が近い弟妹がいると指しゃぶりが多くなることが知られています。
赤ちゃんの時期からの同時泣きで、おしゃぶりに頼ることも多く、一人がお世話されているときに、もう一人が待っていたり、手持ち無沙汰になることが多い状況を考えると、多胎児で指しゃぶりが多いだろうことは予想がつきますし、実際に乳幼児健診の場でも多胎児に指しゃぶりが多い印象があります。

指しゃぶりには意味がある?

1〜3歳ごろに指しゃぶりが癖になってしまうのには、心理的な理由があるといわれています。感情のコントロールが未熟で不安定な気持ちを落ち着かせるために、必要があって指しゃぶりをしている側面があるのです。指しゃぶりをする子は、しない子よりも寝つきがよく、ひどい夜泣きが少ないともいう人もいます。

3歳ごろまでの、寝る前や退屈な時などにみられる無意識の指しゃぶりはあまり問題ありませんが、昼間の遊び場や、長時間続けてみられる場合には、指しゃぶり自体を問題視するのではなく、子どもの置かれている状況を見直してみる必要があるかもしれません。生活環境が発達に応じていない場合(離乳食が合わない、トイトレが早かった、多胎児にケンカするなと言うなど)、子どもは環境への不適応を指しゃぶりなどで表現しているのかもしれません。

指しゃぶりの弊害

あごの骨は発達過程で大きさや形が変化していくので、その形成には生活習慣も影響します。

1〜2歳にかけて、乳歯の奥歯が生えてきて噛み合わせが安定してくると、指しゃぶりの影響も出やすくなり、指の圧力で上の前歯が突き出て“出っ歯(上顎前突)”の原因になります

3歳を過ぎて指しゃぶりが続くと、歯を支える歯槽骨にも影響して、“口を閉じても上下の歯が開いた状態(開咬)”になり、進行してくると食べ物を前歯で噛みきれなくなることもあります。また、すきっ歯、上唇が前へつき出てめくれあがる、常にぽかーんと口を開けているといったことも起こりえます。
人指し指を下の歯に当てるタイプでは、受け口やしゃくれ(反対咬合)になることもあります。

この上顎前突や開咬はサ行やタ行の発音にも影響します。

歯並びは自然に治る?

3歳ごろまで続いた指しゃぶりのため、歯並びや噛み合わせに影響が出ている子でも、この時期までにやめれば、程度のひどい場合を除いて自然に元の状態に戻りやすく、永久歯へ生え変わるころまでには歯並びも改善されてきます。

4〜5歳ごろに指しゃぶりをやめた場合は、あごの骨にまでは影響が出ておらず、まだ自然治癒が期待できます。

5〜6歳まで頑固な指しゃぶりが続いていると、自然には戻りにくくなるため、歯並びのことを考えると、永久歯が生える前までには指しゃぶりをやめたいところです。

心配ない指しゃぶり

指しゃぶりは3歳ぐらいまでに自然に中止することが多く、そのころまでの歯並びへの影響は自然治癒の傾向がみられるので、2歳ごろまでの指しゃぶりは強制的にやめる必要はありません。また、時々しゃぶるだけで、歯並びが悪くなっていない場合や、明るく元気にすごしているようなら、あまり神経質にならなくても大丈夫です。

こんな時は相談しましょう

次のような場合は、小児歯科や矯正歯科へ相談をお勧めします。

  • 3歳を過ぎて、昼も夜も絶えず指を口から離さず、指だこや指がふやけるぐらい頻繁に指おしゃぶりしており、歯並びが悪くなった(歯にすき間があいて、出っ歯になってきた)、口元が出っぱっている、上唇がめくれている(いつも口をあけて、口呼吸)という症状が出てきている。
  • 4歳になった時点で上下の歯の奥歯を噛んだときに、前歯に子どもの指一本分のすき間がある。
  • 6歳を過ぎても、歯の間に舌をはさみ、サ行、タ行などの発音がおかしい。
  • 6〜7歳で永久歯の前歯が生えてきてからも持続する頻繁な指しゃぶりしている。
  • ピチャピチャ音をたてて食べる、口のまわりの筋肉に力を入れて飲み込むなど、食べ方や飲み込み方がおかしい。
  • 口元がゆがみ噛みにくくなったり、口元が曲がり顔も横にゆがんでくる。

無理にやめさせようとすると…

頑固な指しゃぶりを続ける子どもの中には、少しでも親の関心を自分に向けるために、何らかの不安をまぎらわせたりするための手段としており、単なる癖ではない場合もあります。

単なる癖の場合は、下記のような苦味などの忌避薬を塗って効果が出る子もいます。

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しかし、指しゃぶりで心の安定をえていた子を無理にやめさせようとすると、爪噛み、唇吸い、おもらし、隣の子を噛む、性器いじりなどの他の困った癖になって現れてくることがあります。

指しゃぶりをやめさせたいと思っていると、つい口から指を抜きたくなりますが、起きている間は避けた方が良いでしょう。寝付いてからなら大丈夫です。
叱ったり、罰したりするのは、最も避けたい方法で、指しゃぶりを増悪させるか他の困った癖になったりと逆効果になってしまいます。
また、やめた方がよい理由を子どものレベルにあわせて「大きくなってかわいいお顔になるためだよ」などと説明してみるのは良いですが、「かわいくなれないよ」などと、おどすような言い方にならないように注意したいものです。

指しゃぶりは治さないで治す!

指しゃぶりをやめさせようと親が頑張るほど、子どもにプレシャーがかかり、その不安をまた指しゃぶりで解消するような悪循環にはまってしまうことがあります。

とくに多胎児は親の注目をより自分に集めようとするため、注意されるような行動をあえてしてしまう傾向があり、指しゃぶりそのものに関わらないことが、実は指しゃぶりを治していく近道かもしれません。

人の体で最も感覚が集中した口と指が同時に刺激される指しゃぶりは、不安な心を自分で紛らわせるお手軽な手段です。その指しゃぶりをやめさせるためには、他の感覚によって心を満たすことが大切です。

子どもが指しゃぶりにふけっているとき、ぎゅっと抱きしめたり、頬ずりなどのスキンシップによって、ほとんどの子どもは注意をしなくても、その時の指やぶりはやめてしまいます。一回ですぐに指しゃぶりの癖が無くなるわけではありませんが、だんだんと指しゃぶりへの依存は減ってくると思います。

指しゃぶりはテレビを見ている時や退屈でぼーっとしているときなどに多くみられるため、日中はできるだけ外で遊ぶのもいいかもしれません。外遊びでは指しゃぶりが減り、夜には疲れて指をしゃぶる間もなく寝てしまうことが期待できるからです。子どもが指しゃぶりを忘れるぐらい夢中になれるなれることを探すことに力を入れるのも、指しゃぶりがしにくくなる生活環境づくりとしていい方法だと思います。

ただ、多胎育児でこれを実行するのは大変です。指しゃぶりを治さずに治すには、1人でどうにかしようと抱え込まずに、家族や親戚と協力してみて下さい。

参考文献
岩倉政城(2001)『指しゃぶりにはわけがある』大月書店
井上美津子(1994)『指っておいしい?母と子の指しゃぶり教室』ささら書房
吉田康子ら(1989)『ゆびしゃぶりやめられるかな』わかば出版

【監修医師】小児科専門医:藤田 真弥

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自身も三つ子の姪がおり「多胎マム」の活動にご理解頂き、監修して下さることになりました。 こども病院で小児科医として研修を積み、現在は育児をしながら小児科診療...

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  1. 【監修医師】小児科専門医:藤田 真弥【監修医師】小児科専門医:藤田 真弥

    >desertrose様

    血が出るほど爪を噛んで、どんな心の闇があるのかと、心配になるかもしれませんが、特別な状況がなければ、多くは双子ちゃんならではの、かまってほしくて寂しかったり、母の関心を自分に集めたかったりということだと思います。爪噛みによって心の安静を得ている面もあるのでしょう。
    年齢とともに指しゃぶりは減り、それに伴って爪噛みが増加する傾向があります。
    2歳児の1.4%の子が爪噛みをし、5歳児になると15.9%に増えるという報告もあります。多胎児だともっと頻度は多いかもしれません。
    言葉だけに頼って子どもをコントロールしても効果は限定的なので、指しゃぶりの治さずに治すも参考にしてみて下さい。

  2. desertrose

    我が家の双子も、指しゃぶりではありませんでしたが、おしゃぶりが外せず、なんとか2歳までにとやめさせました。その結果、今は『爪噛み』の癖がでてしまいました…。私自身も不安な時に爪を噛んでいた記憶があるので、何かあるのかと気になります…。血が出てしまうほど、手足の爪を噛むので悩んでいます……

    • 多胎マム編集部多胎マム編集部

      コメントありがとうございました。
      本記事を監修して下さった藤田先生からコメントして頂いたので、よろしければ内容ご確認頂ければ幸いです。
      また、編集部からも具体的なポイント(「短時間から少しずつ」など)今回記載できなかったことを近日また、ご紹介したいと考えております。公式SNSで更新情報を配信しておりますので、気にかけて頂ければ幸いです。

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