連載中「イライラママを卒業したい!セーブ・ザ・チルドレンからの処方箋」第2回です。
前回のお話はこちら↓
おさらい
第一回では、セーブ・ザ・チルドレンの推奨する子育ての手法「ポジティブ・ディシプリン」の説明と、4つの原則の最初の1つ「子育ての長期的な目標を明確にする」を確認しました。
ポジティブ・ディシプリンの原則は積み重ねていくもの
4つの原則は、積み木のように積み上げていくものです。
まず大切に意識していきたいのは前回取り上げた「子育ての長期的な目標を明確にする」こと
子どもにどんな大人になって欲しいか?どんな人生を送って欲しいか?を日常的に意識する習慣を作ること◎
これが最初の1歩です。
私も早速「子育ての目標」を仕事用PCや部屋にペタペタ。
衝動的な焦りに負けないように!意識づけしていくぞー!
続いてご紹介するのはセカンドステップ。
原則2「温かさを与える」「枠組みを示す」です。
原則2 「温かさを与える」「枠組みを示す」
第一回で説明した原則1「子育ての長期的な目標を明確にする」は言わばあなたの「子育てプラン」です。
これからどんな風に子育てをしていきたいか?
どこに向かっていくのかを具体的にした子育ての計画です。
原則2で紹介するのは、あなたの計画を進めるための「子育てツール」!
プランを実際に実行していくための、方法と道具。
それが「温かさを与える」こと、「枠組みを示す」ことの2つです。
温かさを与える
「温かさ」ってなに?
プランを進めていくために、まずは、土台作りからはじめましょう!
家づくりでいう基礎工事。
それが「温かさを与える」です。
「温かさ」って抽象的ですが、この記事に辿り着いたあなたならきっと「温かさ」を感じたことが沢山あるはず!
誰かに褒められたとき
失敗して慰めてもらったとき
「あなたならできるよ!」と信頼して背中を押してもらったとき
初めて産声を聞いたとき
離乳食を完食してくれたとき
家族が笑い合っているとき…
他にもたくさんの「温かさ」を感じる出来事があなたの人生でもあったと思います!
「温かさ」を感じた時の心境、覚えていますか?
きっと自信が持てたり
やる気が出たり
他の人への思いやりがもてたり
前向きに、挑戦する力が湧いてきたり…
そんな風に感じたのではないでしょうか?
子どもも一緒です!
特に子どもの頃に親から沢山の「温かさ」を受けった子どもは、大人になってからもバイタリティー溢れる人になる…というのは、どの育児本にも書かれた子育ての基礎ですね!
温かさを感じないと…
逆に温かさを感じないとどうなるか…
これも、もしかしたら皆さん多かれ少なかれ経験してきたことかもしれませんが…
不当に扱われたり
自分の行動を認めてもらえなかったり
暴力を振るわれたり、嫌な事を言われたり…
そんなことがあると…
自信をなくすし
正直でいるのが嫌になる。
怒ったり、攻撃的になる。
不安になる、落ち込む。
挑戦するモチベーションがなくなる。
これも、子どもも一緒なんです。
「温かさ」を感じる=長期的な目標の基盤!
「温かさ」を感じると…
大人を信頼し
自信を持ったり
挑戦する気持ちが湧いてきたり
思いやる気持ちが出たり
やる気が高まったりします。
大人も子どもも、人が一番学べる瞬間=「温かさ」を感じているときなのです!
「温かさ」をどう与えればいいの?
「温かさ」を与える方法はたくさんあります!
そして、すでにあなたはたくさんの「温かさを」お子様に与えていると思います!
子どもをぎゅーっと抱きしめたり
絵本を読んであげたり
ほめたり、一緒に遊んだり、笑ったり…
これ、もうやってるんじゃないかな?
他にも…
子どもの話を聞いたり
子どもの視点になってみたり
傷ついたり怖がったりしているときに元気づけたり
子どもが間違えてしまった時・失敗しまった時に
「それでも、あなたのことが大切だよ」と親の愛情は変わらない事を伝える。
大きくなってからも…
課題に直面した時に支え
難しいことに立ち向かうときは励まして
努力した過程や成功を認めたり
子どもを信じて、信頼していることを伝える。
色んな方法で「温かさ」を与えることができます。
セーブ・ザ・チルドレンが提示しているのはこちら。
- 安心感を伝える
- 無条件の愛を伝える
- 言葉や行動による愛情表現をする
- 子どもの発達段階に対する配慮をする
- 子どもの欲求に気づく敏感さをもつ
- 子どもの気持ちに対して共感する
子どもにとっては毎朝ママが「おはよう!」と笑顔で言ってくれることや
転んだ時に「大丈夫?」と声をかけてくれること
ママが当たり前にやっている事の一つ一つが「温かさ」として伝わっているはずです。
人が一番学べる瞬間は「温かさ」を感じているとき。
子どもに「温かさ」を与えて、子育てプランを達成するための基盤を作りましょう!
枠組みを示す
「温かさ」を感じて、学ぶのに最適な基礎を作ったら、もう一つのツールを使ってルールや必要な情報を教えます。
その、もう一つのツールが「枠組みを示す」です。
「枠組み」とは?
「枠組み」とは、生きていくうえで必要なルールやノウハウのこと。
やって良いこと、悪いこと…善悪の区別や、マナーなどのルール。
さらに、失敗してしまった時にどう行動すれば良いのか?
難しい課題に立ち向かうにはどうすれば良いか?など…
あなたの子育てプランをすすめるために必要な情報が「枠組み」です。
今あなたがこうやってこの記事を読んで、他の考えを理解し自分の物にしているように、子どもも年齢に応じて色んな情報から学んでいます。
毎日一緒に過ごす家族の行動からもたくさんの「生きていくための情報」を学んでいます。
食事の前に「いただきます」を言う
玄関で履物を脱ぐ
間違えたときは「ごめんなさい」と言うなど…
あなたの毎日の行動「こんな時はこうする」も、学んでいる情報の一つ。
大きいお子様であれば
親以外の大人からの教えや
本の情報
自分の成功・失敗体験
友だちの成功・失敗する姿、努力している過程など
生きるためのノウハウをを学ぶ場は広がっているでしょう。
「枠組み」を伝える方法
ルールやマナー、生きていくために必要なノウハウなどの情報=枠組みを伝える方法はたくさんあります!
子どもが小さいうちから心がけたいこと
大きくなってから意識したいことなどありますが、まとめて例を挙げます。
- 決められたルールの背景にある根拠を説明する
「ダメ」なことがなぜ「ダメ」か?子どもは知りません。
「ダメな理由」(=「枠組み」)を説明しましょう。 - 親自身が子どものいいお手本になること
子どもは小さい時から毎日共に過ごす親の行動をよく見て学んでいます。
(あぁ…耳が痛い。) - まめに会話すること
特に言葉が理解できるようになったお子様とはまめに会話するのが一番!
親の意見を説明したあと、必ず子どもの意見にも耳を傾けましょう。
他にもセーブ・ザ・チルドレンが「枠組みの伝え方」の例として挙げているのがこちら
- 子どもが上手に意識決定をできるように、必要な情報を与える
- 間違えてしまった時、次に生かすことができるような間違いの正し方を、子どもに見つけさせる
- 難しい場面に対する心構えをさせるために、どんなことが起こるか?どうすればそれを乗り切れるか?を教える
- 子どもの行動が他の人に与える影響について教える
- 子どもに対して公平で柔軟な態度をとる
- 子どもの前で怒りをコントロールする
- 「叩く」とか、「かわいがるのをやめる」「お化けが捕まえにくる」など、子どもの怖がることをちらつかせ、脅かさない
私、今、めっちゃ反省しています。
私が、間違えてたのはこれだ…
「温かさを与える」は「結構できてるな」って自己評価は高かったのですが…
「枠組みを伝える」は、あれもこれもできてなかった…
ここがダメだったのね。
とりわけ、「お化けが捕まえにくる」など、子どもの怖がることをちらつかせ、脅かさないというのに我が家を見られた!?と、ドキッときてしまいました。
私の失敗からぜひ学んで欲しい…
告白します。
度々「鬼」登場させてました…。
筆者のここがダメだった 我が家の鬼事情
実は我が家、島根県の伝統芸能「石見神楽」の鬼(厳密に言うと般若)のお面があるんです。
▲こんなの
「ママが本物の鬼になるより良い!」と思って
どうしても言うこと聞かないとき、本当にダメなこと(うちの場合は噛みつき)をした時は、一緒にお面を見に行き鬼の前で「噛んでごめんなさい」させてました…
ああ、活字にするだけで恐ろしい…
ダメ母過ぎて嫌になる…
それ以外にも←
叩いたり、つねった時にも「あ!鬼さんに言っちゃうよ!?」とか…言ってました…orz
これ、脅しですよね。
もっと言えば←
子どもたち同士でも、嫌なことをされたとき「◯◯ちゃん!鬼に行って!」って言ってました…orz
これ、完全に私の真似ですよね。
間違った枠組みを示してしまったんだ…!!
この子たちが大きくなって他の人を脅したらどうしよう…
我が子だから、犯罪レベルの脅しはしないだろうと高を括っていますが
だとしても、お友だちと喧嘩した時に
「〜してくれなきゃ、もう◯◯ちゃんと遊ばないよ!?」「そんなこと言うなら、絶交!」とかはあってもおかしくないかも…
誰でも多少は経験することかもしれないけど、そうやって自分本位に色んな人と壁を作ってしまうのは、大人になってから苦労しそう。
適度な距離感を取れる人にはなって欲しいけど、望まない壁を作って生きづらくなって欲しくないな。
原則1:子どもにどんな大人になって欲しいか?を考えれば、私が間違ってたのは明白。
同じ「鬼」でも、「温かさ」を伝えることができる
ちなみに、この鬼のお面。
私の祖父母宅の客間にも同じものが飾ってあったんです。
私が子どもの頃、帰省するとこの客間で就寝していたのですが、寝る部屋にこのお面が飾ってあるのが、凄く怖くて嫌でした。
両親に「お面が嫌だ。怖い。」と伝えると…
「これは魔除けなんだよ。ここに悪いものが来ないように、祖父母がつけてくれたんだよ。あなたのこと守ってくれてるんだよ」
と言ってくれました。
だからってお面を好きになるとか、怖くなくなるわけではありませんでしたが、すごく腑に落ちて「しょうがないか…」と受け入れました。
同じ怖い鬼のお面でも、祖父母と両親が私に伝えたのは、私を大切に思う気持ち=「温かさ」でした。
私、間違いを正します!
母、挽回すべく!「間違いの正し方」の見本を見せるぞ!と子どもたちには正直に謝りました。
「ママ、子育ての勉強をしてね、鬼に連れて行くのは間違いだってわかった。本当にごめんね。」
ついでに「なぜ間違いなのか?」間違いの理由も伝えました
「あの鬼は本当は、怖いことから家を守ってくれている鬼なの。怖い顔をして、おばけとか悪い人が来ないようにおうちを守ってくれている味方なんだよ?なのに、悪いことをした時に連れて行ったからみんなにとって怖いところになっちゃったよね。ママ、間違ってた。ごめんね。」
「ママはみんなのことが大好きで、とっても大切で、みんなが痛い思いや怖い思いをするのは嫌なのに、ママが怖いことしてしまってたよね。ごめんね。」
「もう、悪いことをした時に鬼のところに行かないし、『鬼に言いつける』とか言わないよ。」
「でも、人を噛んだりするのは痛くて傷つくことだから、これからもしないでね。みんな鬼に連れて行かなくても、噛まれるのが痛くて傷つくことで、噛むのがいけないことだってわかってるもんね?噛まないですむ方法を考えようね?」
「ママ間違って怖いことして、ごめんね」
↑もっと良い説明があったかもしれませんが、
子どもたち(2才三つ子+5才)びっくりするほど、静かに真剣に聞いてくれて「ママ、いいよ」と許してくれました…!!
それから現在まで数日間ですが…
「いけないこと」に対して「なぜいけないか」理由を説明するように心がけています!
「ダメ!」と突き放すような言い方をしてしまった時よりも
「これってダメなんだけどね、理由があってね…」と伝えると
子どもの気持ちに寄り添おうとしているのが伝わるのか、話を聞くために落ち着いてくれることがあります◎
結構手応えアリです!
「枠組み」の示し方を誤ると…
- 大人が守っていないルールを課す
- 大人の手助け無しに課題解決するようにしておきながら、子どもが失敗すると罰を与える
→子どもは混乱する。不安になる。 - 強制しようとする
→抵抗する - 怒りをぶつける
→萎縮する - 間違えてしまった時に、傷つけられると
→挑戦しなくなる
「枠組み」を示し方を誤ると、子育ての目標からどんどん遠ざかってしまいます。
「枠組み」を示し方、伝え方を工夫して、使いこなそう!
私も大失敗していた「枠組み」の示し方。
きっと「しつけ」と称して、自分もこんな風に育てられたという方もいるかもしれません。
大人が、子どもにどうして欲しいか?手本を示し、良い判断をするための情報を提供れば
→子どもは自信や力、自立心を高めることができる!
ルールやマナーについて情報を伝えること
目標を達成するための方法を見つける手助けをすることで
子どもは生きるために情報と、その理由を理解し、学ぶことができます。
「枠組み」とは…?
善悪の区別や、失敗した時にどう次に繋げるか?等
生きていくうえで必要なルールやノウハウのこと
「枠組み」の示すには、大人がお手本になり
子どもの話をよく聞くことが超重要!
まとめ
子育ての長期的な目標を決めたら、それを実行するために使えるツールが
「温かさを与える」と「枠組みを示す」
「温かさを与える」と、子どもが学ぶ姿勢になる!
「枠組みを示す」で、生きていくために必要なルールやノウハウなどの情報を教えよう!
参考文献
記載の内容はセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンの発信内容を基に、筆者の教育者・母親としての視点から記載しております。ポジティブディシプリンについて詳しくはセーブ・ザ・チルドレンホームページをご覧下さい。
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