双子のクラス分け…
同じにするか?別にするか?
悩んでいる方は多いのではないでしょうか?
今回、参考になりそうな2つの海外の学術論文をご紹介します。
【オランダ】『小学校での双子のクラス分けの影響』に関する研究
1つ目に、オランダ・アムステルダム大学の『小学校での双子のクラス分けの影響』に関する研究をご紹介します。
双子のクラス分けが、問題行動に及ぼす影響を分析した研究。
CBCLと呼ばれる子どもの行動チェックリストを使用して下記の項目を調査。
問題行動尺度
- 内向尺度(自分の内側の問題)
不安・気分の落ち込み(抑うつ)、頭がいたい・イライラする等の身体的訴え、引きこもり - 外向尺度(自分の外側への問題)
攻撃的行為、非行的行為
短期的な評価:7歳の時
7歳時の評価では、同じクラスよりも別クラスの双子の方が内向尺度と外向尺度の両方に問題行動が多いとされました。
しかし、小学校入学前の3歳時点でもともと外向尺度で問題行動がある双子は入学時点で別々のクラスにされる傾向があり、それを考慮すると7歳時の外向尺度の問題行動がクラス分けの影響かは明らかではありませんでした。
一方で不安などの内向尺度はクラス分け後の7歳時により顕著に現れているという結果でした。
長期的な評価:12歳の時
12歳時の評価では、クラス分けによる問題行動に差はありませんでした。この結果は一卵性・二卵性双生児ともに同じでした。
結果は?
この研究をまとめると、双子のクラス分けは短期的には内向尺度の問題行動が見られるが、長期的にみればその影響はなくなるという結論でした。
この研究では、長期的には双子のクラス分けは問題行動に影響しないということが示され、双子をクラス分けするかの決定は、もともと持っている行動面の問題によって考慮されるべきだと主張しています。
おまけ:調査方法の詳細
問題行動は子どもの行動チェックリスト(Child Behavior Checklist: CBCL)を用いて、母親(3歳、7歳、12歳時)と教師(7歳および12歳時)が評価しています。CBCLは児童精神の領域で広く使われている子どもの情緒と行動を多面的かつ包括的に評価する検査で、社会能力尺度(子どもの趣味や友達関係、家族関係などの生活状況)と問題行動尺度(ひきこもり、身体的訴え、不安/抑うつ、社会性の問題、思考の問題、注意の問題、非行的行動)を調べます。さらに問題行動尺度は内向尺度(不安/抑うつ、身体的訴え、引きこもり)と外向尺度(攻撃的行為、非行的行為)を分析します。
【イギリス】双子クラス分けと学業成績
2つ目に、ロンドンのゴールドスミス大学の『双子クラス分けのジレンマ:一緒?それとも別々に勉強する?』という双子のクラス分けと学業成績に関して2018年に出た新しい論文をご紹介します。
この研究ではイギリスとカナダに住む9000組以上の7〜16歳の双子を対象に、学力とクラス分けの関連性を調査しています。
結果は?
結果は双子のクラス分けにより、学業成績、認知能力、やる気に差はありませんでした。これは国籍、学年、性別、一卵性・二卵性を問わず同じ結果でした。
この論文の結論として、学校側が双子のクラス分けの方針を押しつけるのではなく、双子、その親、教師によって何が最良かを個々に考えるべきだと主張しています。
※これらの研究はクラス分けが双子に影響を及ぼさないと言っているわけではなく、学業成績には無関係だったという結論に留まります。
まとめ
双子のクラスを同じにしても、別にしても、子どもの長期的な問題行動、学業成績には関係ない。
クラス分けで悩んでいたママたちにとっては明確なヒントでなかったかもしれませんが、1クラスしかない・選択肢がないという場合には安心できる結果かもしれません。
また今回ご紹介した研究は、①問題行動、②学力に及ぼす影響を示したもので、他にも多数の考えるべき指標があると思います。
今回は研究デザインがしっかりしている大規模な研究ということで海外の学術論文を紹介しましたが、参考になりそうな国内外の文献がありましら、ぜひ情報をお寄せ下さい!
▶個々の状況に応じたクラス分けの考え方のガイドラインや、学校や先生の方針と家族の希望が違う場合の話し合い方などをご紹介予定です。
コメント
コメント一覧 (2件)
短期的に不安などの内向的な問題が出るのは、今まで一緒にいた双子たちが入学して初めて別々になるのだから、当然の結果って解釈しました。でも長期的にはそれも解消される結果で安心しました!
コメントありがとうございます!
長期的に影響がないと思うと、どちらを選ぶにしても気が楽になるような研究結果ではないでしょうか?
これからも、タタイマムをよろしくお願い致します。