「孤独」の反対語って何だと思いますか?
Google検索でもピンとくる答えはなく、それぞれの考え方で答えは異なり、哲学的なトピックのようです。
「孤独」の反対語は「双子」
「孤独」を広辞苑で調べてみると『仲間のいないこと。ひとりぼっち』とあり、心を通い合わる人がいなくて寂しいイメージの言葉です。これは、常に遊び相手がいて、安心感や一体感のある「双子」の真逆ですよね。孤独と反対の様子が双子というのは、しっくりきませんか?
今回は「双子に足りない孤独の価値」を考えてみました。
「孤独」の価値
「孤独」と聞くと、ネガティブなイメージがありませんか?寂しい印象で、「できれば孤独になりたくない」と感じる人も多いと思います。しかし、孤独は人間に必要なことという考え方も多く存在します。
テレビ番組「世界一受けたい授業」の中で、作家の伊集院静は『○○だけが自分が何者かを教えてくれる』と問題を出していましたが、この答えは「孤独」でした。
『孤独だけが自分が何者かを教えてくれる』 by 伊集院静
また、芸術家の岡本太郎は『孤独が君を強くする』『自分の中に孤独を抱け』などの著作の中で孤独はただの寂しさではなく、人間が強烈に生きるバネであり、創造は孤独の生み出した果実だということを力強く主張しています。
この他にも、孤独が人間の内面を豊かにするという言論は枚挙にいとまがありません。
さらに、作家 五木寛之の『孤独のすすめ』を筆頭に、いかに孤独に生きるかを指南する本もよく見かけます。
これからの困難な時代を幸福に生きるために、現代人がトレーニングしてでも身につけるべ新たな“能力”である
【出典】諸富祥彦『孤独であるためのレッスン』
孤独は生きていくために不可欠で積極的な能力であると考える人もいます。
子どもにも孤独は必要?
大人と同様、子どもにとっても生活のどこかに「孤独(ひとり)でいる時間」 は必要で、ひとりのときにしか起こらないある種の内面的成長があると、社会学者のエリーズ・ボールディングは主張します。
ひとりになる時間がない子どもは、外界からの刺激ばかりにさらされ、一連の決まりきったパターンで反応することで大量の感覚的刺激から身を守るようになり、想像力や創造性の発達が妨げられてしまうというのです。
一方で、ひとりでいられる能力を身につけた子どもは、自分自身の内なる感情に触れ、他者からの期待や要求とは関わりなく、自分自身が本当に望んだり、欲したりすることができるようになるとも考えられています。
子どものひとりでいる力
子どもは、ひとりでいる力を人生のごく初期に後天的に獲得していると、精神分析学者 D・W・ウィニコットはいいます。
人が大人になってからひとりでいられる能力は、母親がいるところでひとりでいることができる、という乳幼児期の体験にその起源があり、まだ乳飲み子のときはママへのあと追いで一瞬も離れなれない時期を経て、乳幼児期には母親と一緒にいながらひとり遊びできるようになります。そして、愛着の対象となる人物を自分の心の中に取り入れることで、次第に自分を見守る誰かがいなくても、自分ひとりでいられるようになるため、この時期に充分な愛情を注がれた体験をもつことが、成長する中で安定したひとりでいられる力になっていきます。
このようにして、だんだんと母親が物理的にずっと側にいなくても、不安なく子どもがひとりでいられる時間は長くなっていきます。
多胎児に足りない?おひとり様の時間
ここまで読むと多胎児たちには、ひとり遊びの経験値が圧倒的に少ないのではないかと気になる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、物理的に“1人きり”にできなくても、自分の世界に集中できる「ひとりの時間」をもつことができるように、それぞれが何か没頭できることをやらせてあげることが大切なことに子どもの人数は関係ありません。ひとりで何かに集中している時間に磨かれる様々な能力が人間形成の土台となり、その子らしさが創られていくからです。
多胎児たちが同じ机の上でお絵かきしていても、それぞれが違うものを書いて没頭しているような時間ってありますよね。長くは続かず、すぐに喧嘩になるような場合も多いかとは思いますが、子どもたちが隣どうしで何かしていても、それぞれの世界に入りこんで打ち込む時間がどこかにあり、その姿を応援できる環境があれば、多胎児だからといってひとりで過ごす時間が足りないと気にしなくてもいいのではないでしょうか。
さらに、心の支えになる愛着の対象としての母親に加え、多胎児たちはお互いが心のより所にもなります。生きていく基盤となるなる幼少期の愛着形成に多胎児の絆があることで自己肯定感が高まることは、大きくなってから周りに振り回されず人間力としての孤独にも耐えうる力をつけることに、きっとプラスに働いてくれるでしょう。
孤独が多胎児の対極にあるからこそ、孤独が必要になった時にそれを十分に受け止めることができる心が、多胎育児の中で育っていくのではないでしょうか。
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