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双子語。ふたごの言語の実態と言語発達への影響

まだ言葉が出てくる前に、ふたごがお互いに話してるような、かわいい光景を目にしたことありませんか?
それはもしかしたら多胎児だけの秘密の言葉「双子語」かもしれません。

あらすじ

双子独自の言語「双子語」とは?

英語で双子語のことをCryptophasia(cryptoは秘密の、phasiaは言葉)と言い、双子語=秘密の言葉という意味があります。

その名の通り、双子語とは多胎児の間のみで独自に使われる言葉で、親や年の近い兄弟にも理解不能です。

単なる喃語や赤ちゃん言葉と思われがちですが、双子語は、いくつかの音や少数の単語、身振り手振りのジェスチャーで構成された単純な言語です。

双子語の特徴

見ていて、かなりかわいいのが、ちゃんと交互に声を出していて、話しているかののようなやりとり。単に二人が個々に喃語を発しているだけなら、声が重なったり、こんなにタイミングよく発声できません。お互いに会話のようなテンポで声を出しあって応答しているのを見たら、それは双子語かもしれません。

双子語には、動詞の活用や時制(過去形や未来形など)もなく、重要なものから順番に言葉を並べるようなシンプルな言語であるようです。また、同じ音でも複数の意味を持つ傾向があり、双子どうしが「ババババババ」「ババババババ」と同じように言い合っているように聞こえても、何かのコミュニケーションをとっているのかもしれません。

実際の「双子語」会話

双子語が生まれるメカニズム

赤ちゃんは言葉を発する前から、言葉を理解するようになってきます。

ワンワンと言えるようになる前に、頭では「ワンワンが犬である」という言葉の理解が進んでいます。この言葉の習得の過程で、“ワンワン”よりも頻回かつ真似できそうな音でそれを言っている相棒がいたら、ワンワンと言うよりも先に双子語で犬と言い始めているかもしれません。

このように、言語の習得には双子に特有の過程もあると考えられています。一般的には親を真似ることで言語を覚えていきますが、双子ではお互いがロールモデルとなりうるからです。親や兄姉の話す複雑な言葉よりも、ちょうど同じ発語レベルで真似しやすい双子どうしで、ある音やリズムのパターンで呼応しあううちに簡単な規則ができ、双子語が生じると考えられます。

いつまで双子語を使っている?

2歳までの双子の約40%ほどに双子語は存在すると言われています。母国語を習得していく過程で自然に無くなっていきますが、6歳以上まで残ることもあるようです。

双子語で有名なのは、1970年代のカルフォルニアで育った双子の女の子PotoとCabengoです。

本当の名前はGraceとVirginiaと言いますが、お互いをPotoとCabengoと呼んでいました。社会との接点がほとんどなく、主に世話をしていた祖母からの言葉かけも少ないという環境で育った双子ですが、6歳になるまで母国語である英語を全く話さず、二人だけの独自の双子語だけで過ごしていたようです。双子語でまくし立てるように話し、発音の仕方も変わっていくので、双子語を読解するのは言語学者にも至難の技だったようです。また、好きなものの呼び名は増えるようで“ポテトサラダ”を指す言葉が16種類もあったそうです。

のちにこの双子のIQは普通であったことが確認され、6歳以降からの言語療法によって英語を習得しましたが、標準的な言語レベルには達しませんでした。

双子語の言語発達への影響

双子は平均して半年ほど発語が遅れると言われますが、この原因の一つに双子語が関係しているかもしれません。

双子語を研究しているBishop&Bishop(1998)によると、言語発達が正常な双子の11%に双子語を認めた一方で、言語の遅れがある双子では50%に双子語が認められ、双子語と言語発達の遅れとの関連が示唆されました。

しかし、双子語があるから言葉が遅れやすいのかについては、鶏と卵のどちらが先かという議論に似ています。母国語に触れる機会が単胎児よりも少ない結果として双子語を使うようになったのか、双子語があることで母国語を使う必要性が低くなって言葉が遅れるのかは分かりません。いずれにせよ、言葉の発達を促すために双子語を禁止しようというのは短絡的です。

言語発達には養育者からの言葉かけが何よりも大切です。しっかりと母国語に触れていれば、双子語を使っていた子どもたちも、精神の発達とともにより複雑な言語である母国語を使うようになっていきます。

双子の言葉が遅れやすい原因は双子語だけではなく、双子ならではの事情が関わっていると考えられています。そして、双子の言語の遅れも多くは幼少期の間に解消されることが知られています。(詳しくは医療監修記事を参照して下さい。)
言葉は意思疎通のためのものです。多胎児たちは母国語の習得よりもだいぶ前に、何らかの形でお互いのコミュニケーションを取るようになります。それを考えると、養育者の基準で言葉の発達に一喜一憂しなくてもいいのかもしれません。

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