双胎間輸血症候群(TTTS)って何?赤ちゃんへの影響は?治療法は?

双胎間輸血症候群とは

双胎間輸血症候群(TTTS)って何?

双胎間輸血症候群(そうたいかんゆけつしょうこうぐん)通称TTTSとは
一絨毛膜(MD、 MM)の多胎妊娠時のリスクの一つです。
(「一絨毛膜」「MD」「MM」ってなに?というかたはこちらをご覧下さい)

胎盤を共有する子の栄養バランスが崩れ、子どもたちの栄養配分=血液循環に悪循環が起こる症候群のこと。
どちらか1人の病気ではなく、栄養が少ない子にも、多過ぎてしまう子にも、胎盤を共有する両児にとって悪影響で、胎児が死亡してしまう場合や、後遺症を残す可能性もあります。

発生確率

1絨毛膜双胎の10-15%

双胎間輸血症候群が起こる原因

TTTSが起こるのはMDツイン、MMツイン、一絨毛膜の場合です。
一絨毛膜双胎は一つの胎盤を共有しています。
2人には必ず数本の繋がっている血管が存在し、双方の胎児に循環しています。
通常はバランスが保たれていて問題ありませんが
何らかの原因でバランスが崩れて、全体として一方通行になった時にTTTSが発症します。

母体の症状

自覚症状はないことが多い。
母体は急激な子宮の増大と脱水傾向により、非常に喉が乾くようになることもあります。

胎児の症状

受血児(血液を余分にもらっている赤ちゃん)
供血児(血液を送り出している赤ちゃん)
循環血液量が多い=多血 循環血液量が少ない=貧血
高血圧、羊水過多、多尿、体重増加 低血圧、羊水過少、乏尿、体重減少
・うっ血性心不全
・胎児水腫
・胎児機能不全
・腎不全
・子宮内胎児発育遅延(IUGR)
・胎児機能不全

双胎間輸血症候群の進行

2人の間の血液の流れが、一方通行になってしまった時、供給児(血液を送り出している赤ちゃん)から受血児(血液を余分にもらっている赤ちゃん)に血液が流れます

双胎間輸血症候群の進行

供血児 “きょうけつじ”

供血児は、受血児へ血液を送り出してしまい貧血・低血圧になる
  ↓
腎臓への血液量が少なくなり尿を作れなくなる乏尿になる
  ↓
羊水のほとんどは赤ちゃんの尿なので、尿量が減少することにより羊水過少になる。

この悪循環が続くと、最終的には腎不全・循環不全から胎児死亡となる場合もあります。
また、羊水の不均衡から、供血児は子宮壁に押し付けられて、発育を制限される真空パック状態(stuck twin:スタックツイン)になり、死亡してしまう場合もあります。

受血児 “じゅけつじ”

受血児は供血児から血液を余分に送られ、多血の状態になる
  ↓
常に循環血液量が多いので高血圧の状況になり、心臓に負担がかかる
  ↓
少しでも循環血液量を減らそうと、尿を少しでも多く出すことにより、羊水過多が進行=悪循環

 
産生される尿は薄いため、胎盤を通じてお母さんから水分を引き込んでくることも悪化の一因に。
(母体は急激な子宮の増大と脱水傾向により、非常に喉が乾くようになります)
長く続くと、赤ちゃんの心臓に大きな負担がかかり、最終的に心不全から全身がむくんだり、胸水や腹水がたまる胎児水腫となり胎児死亡となる場合があります。

胎盤を共有している=どちらかが亡くなったら、もう一方も亡くなる危険性が高い

また、1児が死んでしまった場合、同じ血液循環を利用している子も、正常な血液循環が行われなくなり、死んでしまう危険性が高いです。
TTTSはどちらか1人の赤ちゃんの病気ではなく、どちらの赤ちゃんも状態が悪くなることが特徴です。

双胎間輸血症候群の診断

双胎間輸血症候群の診断は超音波検査で行います。
一絨毛膜二羊膜双胎で
供血児は羊水過少で膀胱が小さく
受血児は羊水過多で膀胱が大きいという所見があり
具体的に羊水差が、最大羊水深度2cm以下〜最大羊水深度8cm以上あるときに診断します
供血児は発育不全となり、両児に著明な体重差を認めることが多いですが、認めない場合もあります

予防策

MD、MMツインの場合は最低でも2週間に1回は検診を行い

  • 赤ちゃんの大きさ
  • 膀胱の大きさ
  • 羊水の量
  • 心機能(胎児血流など)

をよく見ていく必要があります。
少しでも差を認め始めたら、検診の間隔を短くして注意深く観察します。

治療法

母体の安静

安静にすることにより、病状の進行をおくらせることが可能な場合があります。
また、切迫流早産の予防の意味からもまず安静にすることが重要です。

羊水吸引除去術

羊水過多となった受血児側の羊水を吸引除去する手術。
羊水量を戻して切迫早産や前期破水を予防し、妊娠期間を少しでも長くすることを目的に行われます。
双胎間輸血症候群の軽症例には有効であることがありますが、重症例には無効であることが多く(また羊水過多の状況に戻ってしまう)、レーザー手術が行えない場合やレーザー手術を希望しない場合に行う対処療法。

胎児鏡下胎盤吻合血管レーザー凝固術(FLP)

双胎間輸血症候群の原因と考えられている双胎間の血管のつながりを、レーザーで凝固(遮断)して両児間の血流不均衡を是正する根本的治療法です。

一児死亡した場合にみられる死児への急な血液移行(これがもう一児の死亡や脳障害に影響すると考えられている)を防ぐこともでき、一児死亡した場合の合併症の予防としても行われている治療。

妊娠16週〜26週までにTTTSが診断された場合が対象。

母体に麻酔をかけ、母体のおなかから胎児鏡を子宮内に入れて治療を行うため、羊水吸引除去術に比べると大掛かりで、出血や破水などの合併症による母体や胎児へのリスクが高くなります。

胎児鏡下胎盤吻合血管レーザー凝固術(FLP)ができる病院

どこの施設でも治療が行えるわけではありません。現在日本では8カ所の施設で治療が可能です(2014年12月現在)。

  • 宮城県立こども病院 - 宮城県仙台市(map
  • 成育医療研究センター - 東京都世田谷区(map
  • 聖隷浜松病院 - 静岡県浜松市(map
  • 長良医療センター - 岐阜県岐阜市(map
  • 大阪府立母子保健総合医療センター - 大阪府和泉市(map
  • 川崎医科大学附属病院  - 岡山県倉敷市(map
  • 北海道大学附属病院 産婦人科 - 北海道札幌市(map
  • 福岡市立こども病院 - 福岡県福岡市(map


▼参考文献
病気がみえる vol.10: 産科 / 医療情報科学研究所
日本胎児治療グループ ホームページ
国立成育医療研究センター – 双胎間輸血症候群に対する胎児鏡下胎盤吻合血管レーザー凝固術(レーザー手術)の説明書
聖隷浜松病院総合周産期母子医療センター – 双胎妊娠:これだけは知っておいて!

多胎マム編集部

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