落ち着きがなく、じっとしていられない、思いついたままに行動する、片付けができない、やり遂げることが苦手。
小さな子どもになら誰にでも見られる行動ですが、これらが年齢不相応に強く認められ、日常生活や学校生活に困難を抱えることも。この中には、発達障害の一つであるADHD(注意欠陥多動性障害:Attention-Deficit / Hyperactivity Disorder)が背景にある場合もあります。
早期発見したい!
ADHD・注意欠陥多動性障害
ADHD(注意欠陥多動性障害)とは?
ADHDとは
- 不注意
集中力がない・気が散りやすい - 多動性
じっとしていられない・落ち着きがない - 衝動性
順番を待てない・考える前に実行してしまう
上記のような特徴がみられる発達障害のひとつです。これら3つの特徴は、同時に全て現れるというわけではなく「不注意優勢型」「多動性・衝動性優勢型」「混合型」に分類されます。たとえ、一卵性双胎でもそれぞれの症状の現れ方には差が出てきます。また、成長とともに状態が変化することもあり、大人になると本人が上手く適応したり、困った症状が目立ちにくくなる傾向があると言われています。
ADHDの原因
ADHDの原因は、はっきりとしていません。遺伝や環境の影響を調べる双子研究をはじめ様々な研究から、ADHDには生まれつきの脳発達の偏りが関係していると考えられ、育て方やしつけによって起こるものではないことは明らかにされてきました。最近では認知度が上がってきてはいるものの、障がいという認識を持たれず、乱暴な子、しつけのできていない子などと誤解されて、周囲の理解が得られないことも多々あります。
うち子のADHD?
幼少期の多胎児が手に負えないほど大変なのは、どんな多胎児でもそうだと思います。乳幼児健診でADHDなどの発達障害を心配した質問をよく受けますが、多くは年齢相応のもので成長とともに落ち着いてきます。しかし、家だけでなく園や学校でも年齢不相応に不注意、多動性・衝動性の症状がある場合は相談してもいいかもしれません。
保護者や教育関係者向けADHDサイト。相談機関の検索なども行えます
ADHDの二次障害を予防するために
ADHDに伴う不注意、多動性・衝動性は、本人の生きづらさに直結します。「頑張っているのにうまくいかない」「またやってしまった」という失敗体験を繰り返し、周囲の大人から叱られたり、友達からのからかいなどを受けることで、「どうせ頑張ってもできない」「何をやってもうまくいかない」というように自信を失いがちです。このような自己肯定感の低下はADHDの二次障害といって、日々の傷つきや否定的な感情が積み重なることで生じてきます。ADHDは生まれつきの特性ですが、ADHDによる二次障害は予防することができます。そこにADHDを早期に見つけて介入する意義があります。
双子・多胎児の場合
ADHDは18歳以下で約5%存在し、1人がADHDであった場合、双子が二人ともADHDになる確率は、一卵性双胎だと約80%、二卵性双胎だと約30%ほどと言われています。
双子の1人がADHDだったら?
兄弟姉妹にADHDの子がいると、ADHDではない子も不安や心配、悲しみを抱きやすいことが知られていますが、ADHDの子の陰にひそんで問題が過小評価されやすいです。また、このような問題は兄弟姉妹よりも双子でより強いという報告があるので紹介します。
双子の1人がADHDだった時、もう1人のADHDではない子への心理社会的的影響について、6〜15歳の二卵性双子と兄弟姉妹を比較したオーストラリアの双子研究です。
研究結果はADHDのタイプによって与える影響が異なりました。ADHDではない方の双子の不安感が最も強かったのは、混合型ADHDでした。不注意優勢型ADHDについて、兄弟姉妹への影響は少ないものの、双子の相手には不安を与えるようです。
また、ADHDの子の症状が緩和されても、双子のもう1人の不安は残りやすいことも指摘されていました。
ADHDのケアは当事者だけでなく家族も含めて考えていくことが大切です。特に、双子の一方がADHDである場合、ADHDではない子への配慮も必要であることを知ってもらえばと思います。

ご寄稿お待ちしております
ADHDは養育者の自信や自己肯定感を低下させメンタルヘルスに影響することが知られています。それに多胎育児が加われば、なおさらです。
多胎児と発達障害の体験談ありましたらご寄稿お待ちしております。似た経験を持つ多胎ママパパの助けになるはずです。
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